寺社探訪

寺社探訪とコラム

水天宮

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水天宮 目次

名称・社格

水天宮と称します。旧社格はありません。

創建

文政元年(1818年)久留米藩主の有馬家の江戸上屋敷内に、久留米の水天宮の分霊を勧請したことが始まりです。

御祭神

天御中主神(あめのみなかぬしのかみ) 安徳天皇(あんとくてんのう) 建礼門院(けんれいもんいん) 二位の尼(にいのあま)

ご神徳

子授け、安産の御神徳では都内随一の人気です。

みどころ

近代建築と社殿との融合が新しい神社のカタチを表現しています。子授け、安産については絶大な人気を博しています。

アクセス

東京メトロ半蔵門線「水天宮前」すぐ

探訪レポート

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ビルになっていますので、周囲のビジネス街に溶け込んでいます。賛否両論あると思いますが、都市開発との融合のひとつのカタチとして時代の先端にある神社だと思います。

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通りからビルを見上げると、社殿が見えます。半蔵門線水天宮前駅」直結。地上に出てすぐの立地です。日本橋蛎殻町は、古くからの商店や問屋さんがあるような町並みで、なんとなく懐かしさを感じます。

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ビルの内部ですが、神門のようになっています。奥多摩エリアにあるような、神楽殿と一体化した神門のような構造です。一階から階段を上がると二階の境内にたどり着く感じです。

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途中に随神様がいらっしゃいますので、役割としては随神門です。ガラス張りで照明に照らされているのが不思議な感覚です。予め予想はしていましたが、この参道に向かってビルの周囲を歩いているときに、既に生まれたての赤ん坊を抱いた若いママとパパ、そしてそのご両親という組み合わせのお参り姿を見かけました。若いカップルも多くて、ここが子授け、安産祈願の聖地であることを思い知ります。

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大型のでっぷりとした狛犬がお出迎えしてくれます。さて、水天宮は久留米藩主の有馬家の江戸上屋敷内に、久留米の水天宮の分霊を勧請したことが始まりです。久留米の水天宮は子授け、安産の御神徳の他、その名の通り水の神様として崇められていました。農業や漁業や船舶関係の神様として慕われています。

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境内に入るとすぐに鳥居があります。これは靖国鳥居と呼ばれるタイプの鳥居です。水天宮を訪れるのに気にしたことは、戌の日というものです。十二支なので月に二回ほど訪れる日ですが、犬は子沢山でお産が軽いと言われているので、それにあやかって、戌の日に参拝する方が多いので、探訪目的ですから戌の日を避けて訪れることにしました。

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すぐ左側に手水舎があります。右側にはホテルのロビーのような社務所があります。お守りやら授与品の販売やご祈祷の受付を行っています。子授けや安産というのは、ご祈願の中でもかなり深刻かつ神頼み的な要素が強いものだと思います。なので、拝殿の前でお賽銭を入れてご祈願するというよりは、昇殿参拝する方が多いと思います。戌の日には昇殿参拝の希望が殺到するそうで、家族で訪れても妊婦さんしか昇殿できないという決まりになっているそうです。

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現在の社殿および境内は平成30年に遷座200年記念事業として整備されたもので、とても新しくてきれいです。見事な朱塗りの社殿も良いのですが、個人的な好みでは生成りの社殿が好きです。お産に全く関係無いおじさんがひとりお参りしていると、相当な違和感を発している気がして、居たたまれなくなってしまいます。

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境内社がいくつかあるのですが、こちらは宝生弁財天です。御祭神は弁財天の垂迹神である市杵島姫大神(いちきしまひめのおおかみ)です。久留米の有馬氏が加賀藩主の前田氏と宝生流能楽の技を競った際に、弁財天に願をかけて勝利したという出来事から、宝生弁財天と呼ばれ信仰を集めてきました。芸事、学業、金運などに御神徳があるそうです。

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子宝いぬです。子犬を慈悲深い眼差しで見つめる母犬の像です。犬の周りに十二支が書かれているのですが、自分の干支を撫でると、子授、安産、無事成長など、ご利益をいただけるとのこと。子犬の頭が撫でられすぎてピカピカになっています。

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境内社が三つ並んでいます。手前から秋葉神社、火風神社、高尾神社です。どうしてこれらの神社が境内社としてここにあるのかはわかりません。特に、火風神社と高尾神社はどこの神社の神様を勧請したのか、想像も付きません。秋葉神社はおそらく浜松の秋葉神社の神様なので鎮火の神様。火風神社は火と風の神様。高尾神社は雨の神様だそうです。火事の多かった江戸の街にちなんだ神様をお祀りしているように思えました。

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こちらが安産子育河童と言います。病院で言うところの産婦人科のごとく、お産関係で攻め続けます。女性の河童に小さな子河童がしがみついている、という愛らしい像です。最初から最後まで子授け・安産に特化していましたが、このくらい専門的な方が有り難い気がします。何しろお産は望んだからといって、軽くなったり楽になったりするものでもありませんから、拠り所を持って、気持を強くする他はありません。

お参りをする人々の中に、赤ん坊を抱いて祝い着を着た若いお母さんがいました。ご両親に付き添われて、お宮参りに来たようですね。おそらく、ご両親が思案して選んだのでしょう。きれいな錦の絹にくるまれた姿は、確かに宝物なのだなと感じました。通りすがりの見ず知らずのおじさんでさえ、その子の未来を思わず願ってしまいます。

 

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