所得が上がらないのに物価が上がっていく厳しい世の中、大学を卒業して就職したら一人前というのはもう過去の話になっています。現在は大卒初任給レベルの所得では都市部で1人暮らしも難しく、結婚して生まれた子供が成人するまで、親の援助が必要な世の中になってしまっていると思います。現代はその親世代がギリギリ終身雇用の経済成長期やバブル期にかかっていて資産や貯蓄や年金があるからなんとかなっているが、今の若者が親世代になると、自分の子の援助ができなくなり、未婚者や自殺者が増えて日本の人口が激減しそうです。
そんな世の中でも人が亡くなると何らかの葬送方式によって火葬に付し、どこかへ埋葬することとなります。今やその費用は時代に見合わない高額なものになっている気がします。たとえ故人のお金でも、葬送に大金をかけず、遺族のためにお金を残す方が健全なように思います。
経済的に厳しい時代、うまく葬儀にお金を使えるように、「葬儀とお金の話」をシリーズでお送りしたいと思います。まず最初に「葬儀費用の仕組み」のお話をしましょう。
葬儀にかかる費用を葬儀社に聞くと、葬儀社が請求する金額を答えると思います。しかし、逝去に伴いかかる費用は、葬儀費用だけではありません。お寺に払うお布施や、お墓や仏壇も必要です。それらの費用は一般的に葬儀費用には含まれません。
1:葬儀費用
2:お布施
3:お墓・仏壇
これを踏まえて、1の葬儀費用の中身に注目していきます。葬儀にかかる費用というのは、不明瞭だとよく言われますが、私は不明瞭ではなく不確定なのだと思っています。葬儀費用について不満が噴出するポイントは、〇〇円コースを選ぶと、見積もり段階で〇〇円より高くなること、精算の段階になると、見積もり金額と請求金額が違うこと、などが挙げられると思います。
なぜそうなるのかは、葬儀費用の仕組みを理解することで明らかになると思います。不明瞭ではなく不確定だと書きましたが、葬儀の費用には、見積もり段階で確定する費用と不確定な費用があります。
1:確定費用
2.:不確定費用
葬儀社の料金プランの構造は、各社様々に知恵と工夫が詰まったものになっていますが、1つずつの項目に分解していきます。上記の2分類を更に分解して4つに分けます。
1.:基本費用(確定)
2:オプション費用(確定)
3:付帯費用(不確定)
4:実費費用(確定)
1の基本費用は、お葬式で提供されるサービスや品物の費用のうち、概ねどの葬儀でも利用され、見積もり段階で費用が確定していて、基本的には請求段階でもその費用が変わらないものです。
例)祭壇、棺、副葬品、遺影写真、手続き代行、司会進行、など。
2のオプション費用は、お葬式で提供されるサービスや品物の費用のうち、どの葬儀でも利用されるものではなく、その葬儀特有の費用で、見積もり段階で費用が確定していて、基本的には請求段階でもその費用が変わらないものです。
例)湯灌、ラストメイク、生演奏、テント、看板類、生花アレンジメント、など
3の付帯費用は、参列者数や葬儀までの日数や火葬場までの距離などの各葬儀によって変動する費用のうち、見積もり段階では不確定であり、請求段階で確定する費用です。
例)料理、返礼品。車両、ドライアイス、保棺料、など。
4の実費費用は、利用料金が一般に公表されていて、葬家がその実費を支払う費用です。大抵は葬儀社が手続き代行してくれますが、手続き代行料などでその代行費用が発生していることもあります。
例)火葬料、式場使用料、など。
〇〇費用という言い方はさておき、葬儀の費用をその性質によって4つに分けました.。次に葬儀社の料金プランの組み方の種類を解説します。上記4つに分けた費用をどのように組んで提案するか、という葬儀社のブランニンク方法です。
1:積上げ式・・・ひとつひとつの項目を葬家に選んでもらい、それらを合計して見積もりを出します。必要なものだけ、葬家が選んだものだけの費用がかかるので、無駄な費用を省けるメリットがありますが、見積もりに時間がかかることと、どのくらいの合計費用になるのか、葬儀社を選ぶ段階では全くわからないというデメリットもあります。
2:セットプラン+オプション費用+付帯費用
概ね必要とされるサービスや物品をセットにして
複数の価格帯のセットプランを用意します。何をどこまでセットに組み込むかは、葬儀社によって違います。予め葬儀費用を想像しやすいメリットがありますが、セットプランだけでは済まず、別途費用がかかることがほとんどです。おそらく、このタイプを採用している葬儀社が一番多いと思われます。
3:コミコミ(総額)プラン
葬儀社に必要なもののほとんどを組み込んだ総額プランを作っています。ブランの価格=請求額となり、事前に総額がわかり、追加費用も発生しないというメリットがあります。その反面、今回は必要ないものがプランに含まれていても、設定を変えられない場合が多いです。変動するものに対しては予め条件が設定されていて、条件を超えたら追加費用が発生します。
4つに分けた費用の種類と、3つに分けたプランの組み方をご紹介しました。これらを組み合わせて、葬儀社は料金設定をしています。どんな組み合わせにしても、必ず不確定費用を含みます。最近はコロナ禍で料理や返礼品を省くことが多いですが、これが不確定要素の代表格です。葬儀社に見積書を作ってもらったら、不確定な費用(参列者によって変動する費用)がどれになるのか、きちんと把握しておくと良いです。葬儀社の担当者さんに印をつけてもらうと良いでしょう。見積書の項目を見て、ひとつひとつの項目が、どういう費用にあたるのか、後で変動するのかしないのか、ちゃんと把握できれば、葬儀費用の仕組みを理解できます。そこで注意すべきは葬儀費用の他にも、お布施とお墓にかかわる費用が別に必要になることです。とにかく全体を踏まえて、葬儀費用の予算を考えることが良いでしょう。
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