高輪の泉岳寺で年に2度行われているという義士祭に行って参りました。私が幼い頃は年末の風物詩として、12月になると毎年TVで「忠臣蔵」を放送していました。主役の大石内蔵助を誰が演じるか? というのが、紅白のトリを誰が歌うか? と同じく、年末の興味の1つという時代があったのです。「やっぱり北大路欣也じゃないか?」とか「今年は萬屋錦之介かな?」という感じでした。
そんな、国民に大人気の赤穂浪士の「忠臣蔵」ですが、人気の秘密は「忠義」というテーマですね。主君のために命をかけて敵討ちするストーリーは人の心を動かします。私自身はそこまで興味を惹かれずに生きてきましたが、今年は当ブログの企画で千葉街道を歩いた際に、吉良邸跡を訪問しました。そこからここまで歩いてきたということですね。
そんな訳で深い関心もなく、どのようなお祭りか良くわからずに出かけましたが、お祭りの時間が7:00から22:00となっていて、どういうことなのか不思議に思っていました。
第一京浜から泉岳寺の参道に入る角に、ライオンズクラブの方々がテントを立てて、播州赤穂の名物てある「しほみ饅頭」を販売していました。「残り1つです。売り切れ完売で終了となります、ここでしか買えません」とアナウンスが流れて程なく、完売を告げる放送がありました。
中門前からたこ焼きやカステラなどの露店が軒を連ねていて、結構な数の方が訪れています。外国の方も多く、かなり賑わっています。中門を通るといつものお土産屋さんの前にも露店が並んでいて、お土産屋さんもテーブルを出してここぞという感じで売り出していました。しほみ饅頭をうず高く積み上げて。
山門の内側の境内にも所狭しと露店が並んでいます。ひと通り廻ると、このお祭りの目的が「四十七士の墓にお参りをする」ことなのだとわかりました。忠臣蔵ファンにとって四十七士はヒーローですので、彼らのお墓参りをするというイベントなのですね。最後尾の看板を持った方がいて、墓地の中から続くお墓参りの行列が、本堂の前まで伸びていました。
お祭りに来ておきながら混雑が苦手な私は、その行列に加わらずに、本堂でお参りをしました。僧侶による仏事も行われているようで、寺務所建物からお土産片手に出てくる僧が多くいました。近隣の関係寺院の僧侶たちが招かれたり手伝ったりしているのですね。檀家向けの公演などのイベントもあるらしく、深く関わっている方々には、ただのお墓参りイベントではなさそうです。
ひと通り見学して14:30頃。もう少し待てば、討ち入りに扮した四十七士の行列がやってくるとのこと。12:00に区役所を出発し、増上寺を経由して泉岳寺に向かっているそうです。どうして吉良家跡から歩いて来ないのでしょう。ともあれ、せっかくなので待ってましょう。
行列は泉岳寺の中までは入らずに、最初の中門の前で左折して公園へと向かうそうです。気持ち先行型の婦警さんが必死で立ち止まらないことと、譲り合いの精神で事故無く行列を迎えてほしいと叫んでました。気持ち先行型なので、大声で感情的に訴えますが、肝心のセリフが追いつかず「えっと〜」と言いたいことが言えずに詰まってしまいます。沿道の方々も思わず笑ってしまってました。
行列がやってきました。先頭の方が血のりのついた頭部を白布で包んだ感じのものを棒の先に付けて高く掲げています。吉良上野介の首という設定ですね。その後は揃いのハッピを着た槍や剣を持った方がズラズラと歩くだけで、おそらく5分もしないうちに終了です。イベント性がなく、ただ通過するだけでした。どうせなら大石内蔵助役に芸能人をキャスティングしたり、中門の前で小芝居を披露したりするなどしたら良いのにと思いました。
やはりこのお祭りは、四十七士のお墓に線香を手向けて、ヒーローのお墓参りをするイベントなのですね。22:00まで多くの忠臣蔵ファンの方がお参りしたことでしょう。
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