6号路登り編
3月最後の土曜日。入院前に護摩祈祷をしていただこうと高尾山薬王院に出かけました。高尾山口駅からケーブルの清滝駅まで歩く間、今回は1号路にしようと決めました。実は前日の東京は嵐のような風雨だったので、山の中はかなりドロドロ状態が予想されたからです。ケーブルやリフトでも良かったのだが、手術が失敗して高尾山に登れない体になるかもしれないので、最後に自分の足で登りたかったのです。1号路なら全面舗装道路なのでドロドロの心配はありません。
しかしすごい人です。今年は桜の開花が1週間ほど遅れていて、高尾山ではケーブル前広場でも山頂でも、桜はまだ咲いていません。それでもこの人出です。清滝駅には10:30頃に着いたのですが、既に下山し終えている人もいました。私も1度早朝に登りたいと思ってはいるのですが、だらしない性格のためいつも遅くなってしまいます。
この大きな石碑を右に行くと1号路ですが、少しケーブル清滝駅前の賑わいに触れつつ、人々の様子を見学していました。準備体操をしている方や一分咲きの桜の撮影をしている方などが見受けられました。やはりケーブル・リフトを利用する方が多く、1号路方面にも多くの人々が向かっています。
私は混雑が苦手という話をよくしますが、人の流れを見物していたら、私の意思とは無関係に、駅の左側に吸い寄せられていました。ここからは6号路もしくは稲荷山コースになります。今回は6号路を進むことになりそうです。
6号路は川に沿って山を登るので、昨日までの大雨によって、渓流の迫力がいつもより楽しめることでしょう。ゴーッと流れる水の音も、いつもの何割増しかに聞こえます。しかし、6号路とはいえ、決してガラガラではありません。土曜日の高尾山を舐めてはいけません。6号路でこれだと、1号路は渋滞でイライラした人同士が喧嘩しながら登っていることでしょう。
すぐにお地蔵様の大群に出会いました。洗心地蔵尊というそうです。やはり高尾山は修験道の道場でもありますから、心身を浄めることが重要なのかなと思います。
東京高尾病院の手前に6号路の入口があります。ここから山の中に入っていきます。実は私はここ数年間で、これまでに2度薬王院に護摩祈祷を受けに行って、目的を果たさずに帰ってきています。
6号路の入口には極太の錫杖が建っていて、この先に水行の場があると書かれていました。護摩祈祷に行った1度目は、暑すぎて汗だくになり、ズボンまでびちゃんこになってしまい、本堂に上がるのは憚られたので、そのまま帰宅しました。その1週間後にまた高尾山に行き、今度は速乾のシャツとパンツで薄着をしていった甲斐あって、汗びちゃんこにはならなかったのですが、ケーブル山上駅あたりでゲリラ豪雨に遭遇し、雨でびちゃんこになってしまったので、そのまま帰宅しました。あれから2年経ちました。今回は無事に護摩祈祷を受けられるでしょうか?
途中にまたお地蔵様がいらっしゃいました。
登山道といっても、しっかり舗装されているので山道というほどではありません。右側に川が流れています。
橋を渡ると岩窟にお地蔵様がいらっしゃると思ったら、こちらは岩屋大師というそうです。嵐の中を彷徨う母と娘が、ここで弘法大師と出会い、祈りを捧げたら岩窟が現れて難を逃れたという伝説があります。弘法大師は山中で様々な伝説を作っています。以前訪れた大山では、弘法大師が爪で岩を削って一夜で彫刻したお地蔵様がいました。
ここで分かれ道があります。6号路は左へ行きます。右は琵琶滝・1号路方面になります。少し寄り道をして琵琶滝に行きましょう。
すぐにお堂が見えました。辺りはゴーッという水の音に包まれています。琵琶滝の由緒が看板に書かれていました。昔々、とある高僧が高尾山を歩いていると、琵琶の音が聞こえてきたが、一体どこから聞こえてくるのかわからずにいました。すると一頭の鹿が現れて、高僧を案内するように導きました。そこには大きな岩に座った白髪の老人が琵琶の音を奏でていました。
高僧が老人に悟りの道を請うと、老人は消えてしまい、そこに白髪のような滝が現れました。高僧は琵琶の調べのようなこの滝を修行の場としたそうです。ここは行者さんだけでなく、一般の方も修行体験ができるそうで、発泡スチロールのすのこがたくさん置かれていました。
それでは6号路に戻り、山道を進みます。山道といっても結構な箇所で舗装されているので、4号路の方が山道っぽいです。
ベンチが置かれた休憩ポイントに到着しました。土曜日なので親子連れも外国の方もたくさんいます。
ここからは登山道が川の左右に移りながら進みます。完全舗装道路で頂上まで行ける1号路よりも緩やかな登り坂なので、登りが苦手な方には良いと思われます。
また橋を渡ります。登山道はそれほど広くないので、抜いたり抜かされたりすることに、少々気を使います。自分のペースで登りたいですが、それを押し通すと醜い限りです。
ついに登山道と川が一体化してしまいました。前日までの雨のために、ここまでもぬかるんでいる部分はありましたが、これは避けて通ることは難しい。スニーカーだと靴ので濡れてしまうでしょう。私はいつもの雨の日配達用の軽登山シューズなので、濡れること無く難所を突破できました。
すると、そこからは川はまっすぐ、登山道は右に分岐します。スタートからここまでBGMとして流れていた川のせせらぎともお別れです。
天気が良いので土も乾いて、良い感じの登山道となっています。狭い道を大勢で歩いていますから、ここに来るまでに、最大40人くらいの列になりました。前の方だったので、道を譲ると大変だから頑張って歩きました。
新し目の階段が現れました。結局こうなってしまうと登山と呼べるのかという話になってしまいます。しかもこの階段区間が結構長い。それぞれペースが違いますから、行列になってしまいます。行列になると、ペースが遅くなるので楽ですが、止まらないので乳酸が溜まっていきます。部活の練習を思い浮かべつつ、なんとか最後まで登りきりました。
階段を登り切ると、大きめの広場があります。山頂まではもうすぐなので、ここで食事をする方も多いです。山頂は芋洗い状態になっていますから、賢い選択かもしれません。
さて、この分岐は5号路で、山頂の少し下をぐるっと一周しています。右の坂を上がると頂上手前の大型トイレで1号路と合流します。
頂上はやはりすごい人で、全ぼかしにしました。座る場所を見つけるのも大変ですが、なんとかひとり分見つけて、いつものコンビニおにぎりをいただきました。老若男女、外国人にも気楽に登れる高尾山はすごい人気です。
12時くらいでしたので、ここから薬王院に行くと、12時半からの護摩祈祷にちょうど良い時間です。薬王院に向かおうかと思いましたが、ズボンの裾が泥だらけです。これで本堂に上がることはできないので、今回も護摩祈祷は諦めます。
本堂でお線香をお供えし、授与所で交通安全の御守りを買い替えました。車内に御守りをぶら下げていると自制心が働くのか、ヒヤッとすることがなくなりました。他に病気平癒の「護身鏡御影」というお守りがあったので、ひとつ求めました。これだと病院に持っていけるし、何も無い病室に1つ拠り所を持つことができます。中を開けると三つ折りの御守りになっていて、中央に薬王院の本尊である飯縄大権現が刻まれた鏡が入っていて、そこに自分を写して、ご利益を授かるというものだそうです。帰りは安定のケーブルカーを利用しました。
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