寺社探訪

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「国立まと火に行く」

国立市多摩川河川敷公園に「国立まと火」を見に行って参りました。かつて国立市民だったことがあり、家にチラシが入っていたので、名前だけは知っている行事でした。この日の東京は34.6℃まで気温が上がったそうで、東京都では50人以上も熱中症で緊急搬送されたそうです。この日は配達の仕事をしていて、行く先々で「暑い中大変ですね~」と声をかけられました。中には冷たい飲み物を用意してくれた方もいらっしゃいました。前日の18時頃に強烈なゲリラ豪雨があったので、天候がどうなるか心配していましたが、空を見ると雲が薄くて雨はなさそうです。

18時半過ぎに到着しました。会場に到着する前から、太鼓の音が聞こえていました。18時から谷保天神太鼓の演奏が行われていたようです。真近で聞くと太鼓の響きがズンズンと伝わります。太鼓の足の高さが低すぎるように見えますが、谷保天神太鼓はこのスタイルが特徴なのだそうです。

とりあえず、会場をひと回り廻ってみました。テントがあったので行ってみると、受付や救護など、特に用事のない場所かなと思えば、北秋田市の物産売場がありました。他にはキッチンカーが2台出ていて、丼物を売っていました。行列ができていたので、まずまず盛況だったと思われます。

このイベントは10回目だそうですが、まと火は「万灯火」という北秋田合川地区の伝統行事だそうです。市民レベルから始まった国立市合川町(現:北秋田市)の児童交流が発展して、国立市北秋田市は友好交流都市協定を締結しています。いわゆる姉妹都市ですが、姉妹とすると序列ができるから友好となっているのでしょうか。

19時になり、行事としてのセレモニーが始まりました。司会は国立市議の方が務めていました。来賓の挨拶から始まるのが日本式セレモニーです。しかし、校長先生の長話が許されたのは昭和まで。市長と衆議院議員が二人挨拶しましたが、1人1分も話してなかったように思います。しかもステージはミカン箱。ちなみに選挙区の変更で国立市は自分たちが投票していない衆議院議員が地元選出の代議士となっています。末松さん(立民)と松本さん(自民)の戦いは毎回苛烈を極めるのですが、今日は両名とも上機嫌で国立市民に顔を売っていました。

スピーチが許されたのは上記3名で、他の来賓の方は名前紹介のあと、マイクなしでその場でひと言叫んでいました。地元選出の都議や国立市議会議員、消防関係、街づくり協会、赤十字支部など、総勢20~30名の来賓の方が紹介されました。市長と国、都、市の議員に、国立市の地域社会の専門分野を担う団体の代表者がお揃いでした。なんだか「地声でひと言」ではもったいなくて、国立市民フォーラムが開けそうなメンバーでした。

来賓の方々の「国立まと火」でのお役目として、点火係を担当していただきます。偉い人たちなので、ミカン箱にも載せず、地声でひと言でお帰りいただくには忍びない。最初の頃は子供たちが点火係をしていたそうなのですが、ちょっと危険が伴いそうですからね。

この「万灯火」という行事はそもそも北秋田市合川地区では、春のお彼岸と8月のお盆に行っている行事です。ダンポという木綿の玉に火をつけて、先祖の霊をお迎えして供養することで、家内安全を願う行事だそうです。お盆の迎え火に近い感覚ですね。

ほぼすべてのダンポに火が入りました。当ブログをよくご覧いただく奇特な方はご存じだと思いますが、私は火を燃やす伝統行事が好きです。国立市では「おかがら火」という火を燃やすだけの謎イベントをレポートしましたが、この「火を燃やすだけ」は国立市お家芸と言いますか、今回も点火したらまったり眺めるだけです。1時間ほど燃えますので、幻想的な風景を楽しみましょうということでした。レジャーシート敷いてビール飲んでという方もいますが、駐車場が無いので持ち込みは難しいかも。キャンプ用品を持ち込めたら、いろいろな問題が発生するだろうけど、楽しみ方が増える気がします。

ミカン箱をもっと大きなステージにしたり、駐車場を用意して周辺地域からも集客したり、キャンプ用品持ち込みで盛り上がったり、出店を並べて飲食を充実させたり、北秋田市の特産品もその場で飲食できるようにしたり、盆踊り大会や花火大会を同時開催したり、せっかく集まった政治家たちに市民フォーラムを開催してもらったり、人気芸人をゲストに呼んだり、と盛り上げるためのアイデアが浮かびます。

しかし国立市民ではない、元国立市民の私ですがこの行事を見て思うのは、このままで良いのでは? ということです。火をつけて、燃えるのを眺めて、では帰りましょか、という国立市民的娯楽は、退屈なようで実際に行ってみると心がハマります。帰り道に空を見上げると、すごい満月でした。

 

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