寺社探訪

寺社探訪とコラム

「大晦日に東京五社巡り」

謹賀新年。本年もよろしくお願いします。

 

昨年から始めた新しい仕事に追われ、寺社探訪的には残念な結果となった2025年後半の最終日、やっと余裕ができたので、この日に何かしようと考えを巡らしていました。

 

東京五社巡り 目次

神社の格式

東京五社とは、東京都内の格式の高い神社を5社選出したものです。

以前はスタンプラリーのような台紙があり、5社コンプリートすると記念の絵馬がいただけるという企画だったそうですが、現在はその企画は無くなりました。格式の高い神社というのも抽象的な表現ですが、過去のコラムに神社の格付けについて書いてますので是非ご覧ください。東京五社巡りは1日で巡拝できますので、初めての寺社巡りや1日で何かを達成したい人にもオススメです。

 

飯田橋駅(スタート)

参拝順に決まりはないそうですが、府中市大國魂神社だけ離れていますので、大國魂神社を最初か最後にした方が良いです。私はJR飯田橋駅からスタートしました。

翌日になればここから東京大神宮や靖国神社へ初詣に向かう方々が殺到して大混雑になるでしょう。1日前のこの時はまだひっそりとしていて、初詣の看板が来るべき明日を待っています。

 

移動 徒歩4分

いつもなら多くの人々が行き交う商店街も、この日は歩く人もまばらです。店先で年末特有のご挨拶をする方々も見受けられ、大晦日なのだなという実感が湧いてきます。1日の長さは変わりませんが、今日が明日になれば年が違ってしまいます。

 

東京大神宮

主祭神:天照皇大神豊受大神

創建:1880年明治13年

社格別表神社

東京大神宮にやってきました。12月31日の午前中に神社にお参りする人の目的は何だろうと思っていましたが、昔は大晦日のお参りと元旦のお参りは別々に行われていたそうです。現代では正月のお参りのみを初詣として行う人が多いと思いますが、12月31日にお参りする方も私の予想以上に多いです。東京大神宮にも人々が集まって、一年を過ごせたことへの感謝の祈りを捧げていました。

東京大神宮はそもそも明治政府が天皇を中心とする神の国を築くべく、伊勢神宮と東京で行われる政治を結びつけようと設立した神社です。氏子地域もなく、地域の神社ではなかった歴史を持ちます。それだけに現代では「東京のお伊勢様」というアピールポイントを強烈に押し出しています。

相変わらず、格好良い社殿です。分厚い屋根と屋根の角度が素晴らしく美的です。現代の東京では「お伊勢様」よりも「縁結び神様」として有名です。これは現代に続く神前結婚式のスタイルが、東京大神宮で行われたものを受け継いでいるからです。そのためか若者が多いように思います。ただ、縁結びとは男女の出会いだけでなく、人と人が出会うことです。職場や社会の至る所で年齢問わずその機会があるのですから、誰がお参りしても御神徳は等しく与えられるはずです。

社殿にはお正月の飾りが置かれていました。人々が多く集まる人気の寺社では、12月31日から1月1日の間に切れ間は無く、ずーっと人々がお参りに訪れ続け、集まった方々の祈願成就を祈祷する儀礼が続くのでしょう。

やはり縁結びということでおみくじに大行列ができていました。若い女の子がおみくじを片手に、まるで自分のことを知っているようなことが書かれていると興奮していました。

 

移動 徒歩9分

東京大神宮から靖国神社へ向かいます。この二つの神社は全く性質が違うのですが、徒歩圏内にあるのでセットで訪れる方が多いのではないでしょうか。フィリピン大使公邸の横を通って坂を下っていると、本当に大きな玉ねぎが屋根の上で光っているのが見えます。

 

靖国神社

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主祭神:護国の英霊

創建:1869年(明治2年)

社格別格官幣社・勅祭社

靖国神社には初詣や戦没者追悼のために年に数度訪れています。我が家の神棚に祀られている3社のひとつが靖国神社なのです。戦争状態というのは、現代の人々には想像もできない社会状況だと思うのです。現代では教育・勤労・納税というのが、国が国民に課している義務ですが、戦時中は国は国民に敵を殺すことや自分の命を落とすことを命令し、国民は日本の未来を護るためにその命令を受け入れて戦ったのです。

「さくら陶板」を見ていた家族連れのお母さんが「これ、何の意味があるんだろう?」と話していました。ぜひ当ブログの靖国神社の探訪レポートをご覧いただきたい。その意義を知れば、ただ美しい陶器というだけでなく、込められた想いが見えてくるでしょう。

その家族連れの子どもたちが「戦跡の石」を撫でていました。今は何もわからなくても、なぜここに石が飾ってあるのか、その理由をいつか知ってほしいです。

さて、出店の並ぶ広場では翌日に向けてテキ屋さんたちが準備をしていました。私も1月1日から仕事です。人が休んでいる時に働いてこそフリーランステキ屋稼業の方々も人々が休みの日が稼ぎ時ですね。お正月は不景気で旅行する人が少ないそうなので、初詣は例年以上に賑わうことでしょう。

お正月ならお参りの行列が神門を貫いているのですが、大晦日は閑散としています。奥の方に旗を掲げる棹が準備されていますね。ここには日の丸が掲げられることでしょう。例年のお正月の神門は大掛かりに飾り付けられているのですが、それはまだこれからなのでしょう。

靖国神社に祀られているのは、日本神話に登場する神々ではありません。この国の歴史のある時点で、国を護るために戦って命を落とした英霊が祀られています。彼らが護ろうとしたのがこの国の未来で、そこで私たちは生きています。靖国神社に参拝するかしないかとは別に、彼らに感謝しなくてはならないし、彼らの存在を語り継いでいかなければなりません。

いつもの休憩所には甘酒の振舞所が準備されていました。毎年かなりの人気で行列ができるのですが、このところ暖かいのでどうでしょうか。

 

移動 徒歩10分+電車5分+徒歩2分

靖国神社市ヶ谷駅溜池山王駅日枝神社

拝殿近くの南門から靖国通りに出て、市ヶ谷駅を目指します。車通りも少なくガラガラに空いています。

10分ほど歩くと市ヶ谷駅に到着しました。

東京メトロ南北線に乗ります。

乗車して5分ほどで溜池山王駅に到着しました。首相官邸議員会館のある街ですが、大晦日なので閑散としています。ここから日枝神社はすぐ近くです。

日枝神社

主祭神大山咋神

創建:鎌倉時代もしくは天正10年(1478年)

社格官幣大社・准勅祭社・別表神社

鳥居の上部が山形になっている独特な形をしています。これは山王鳥居と言いまして、山王信仰日枝神社独特の鳥居です。日枝神社の総本社は比叡山にある日吉大社です。比叡山延暦寺を本山に天台宗を伝えた最澄が、天台宗の守護神として神仏習合の山王大権現に対する信仰を築きました。

エスカレーターで境内に上がると、いきなり工事中の様子です。きれいに整備された境内が特徴の日枝神社ですが、新しく南回廊が創られるようです。場所柄結婚式も多く行われる神社で、日枝神社の回廊を歩く花嫁花婿の姿はとても絵になります。そこにまた新たな光景が加わるのですね。

日枝神社もかなりの人出になっていました。翌日の元旦の準備のためにシートで囲われたエリアが多かったですが、御朱印やご祈祷には行列ができていました。

夏越の大祓は有名ですが、大祓の儀式は半年毎にやってくるので、12月31日も大祓の日なのです。大晦日の影に隠れて目立たないですが、ちゃんと茅の輪を設置して大祓のお参りができるようになっていました。さすがは日枝神社ですね。

茅の輪を三回潜って、社殿にお参りしました。日枝神社の御祭神は大山咋神ですが、明治維新までは神仏習合した山王権現を祀っていました。天台宗の総本山である比叡山の守護神ですから、仏教というより天台宗の教義が色濃く含まれた神社でした。お参りする人々には、祀られている神様の詳細は気にならないようで、皇城の鎮として東京の中心を守っていることに畏怖の念を抱いているように思います。

山王信仰では神の使いは猿です。神猿と書いて「まさる」と読みます。「魔去る」「勝る」と語呂合わせで信仰の対象になっています。大山咋神は山の主ですから山に住む猿たちがその使いとして考えられたのでしょう。

 

移動 徒歩1分+電車8分+徒歩1分

日枝神社国会議事堂前駅明治神宮前駅明治神宮

千代田線で明治神宮へ向かいます。神宮橋の交差点に出ると、表参道に露店が立ち並んで多くの人で賑わっていました。外国人観光客が大勢いて、これまでの閑散とした街の姿とは様相がだいぶ違います。

明治神宮

主祭神明治天皇昭憲皇太后

創建:大正9年(1920年

社格官幣大社・勅祭社・別表神社

鳥居の前でポーズを取って記念写真を撮る外国人がたくさんいました。中には眉を顰めたくなるようなポーズも……。明治天皇は彼らの神様ではないので敬意が無いのは責められないですが、日本人が大切にしてきたことを尊重してほしいです。それにしてもこれまでの神社とは桁違いの大勢の人々が集まっています。

参道を歩く人も多く、大晦日に昼間に神社を訪れるというのは、割とポピュラーな過ごし方なのだと知りました。

ここはフォレストテラスというです。フードコートになっていて、更に出店が並んでいます。25年ほど前、ここは丸テーブルと椅子が置かれただけの休憩場所のようなところでした。当時中野に住んでいた私は、よくここの椅子に座って本を読んだり、考え事をしたりしていました。若き日の静かな居場所のひとつが、今は隨分と賑やかになっています。

二の鳥居は木製で、大きさもさることながら見た目が美的です。足元に榊が括り付けられています。鳥居を潜れば祓い清められるのでしょう。ここから内側は更に神聖な場所になっていきます。

南神門から入ります。お正月飾りが既に施されていますね。左に馬の絵馬、中央に除災招福・家内安全の札、右に破魔矢が飾られていました。

大勢の方々がいましたが、さすがに明治神宮は日本一の初詣客を迎える神社なので、大晦日の人出程度では行列もできません。拝殿の手前にプールのような賽銭を投げる場所が用意されていました。

お参りを終え、東神門から出てしばらく休憩していました。南神門の前に行列があったのですが、明治神宮でも大祓の儀式が行われているようで、参加希望の方が参集所に行列を作って並んでいました。大祓は半年の間に知らず知らずのうちに溜まってしまった罪や穢れを祓う儀式で、6月末と大晦日に行われる神事です。

北参道を歩き、北の鳥居から外に出ました。やはり外国人観光客が多い。世界の複数の候補から日本を選んで来てくれたので有り難いですが、寺社で見かける外国人観光客はどうしても不敬な態度が気になってしまいます。でもそれは彼らの神仏ではないので当然かもしれません。私たち日本人が神仏を大切にする態度を示すことで、彼らに何かが伝われば良いと思います。

移動 徒歩22分+電車25分+徒歩4分

明治神宮新宿駅府中駅大國魂神社

明治神宮から新宿まで歩くことにしました。車が通っていないので、不思議な感覚です。

新宿駅南口に到着しました。ここでも大きなスーツケースを持った外国人観光客を多く見かけました。新しい年を日本で迎えるなら、今夜は蕎麦食べて、あまりお酒を飲み過ぎないで、是非除夜の鐘や初日の出を見に行って、帰りに近くの神社で初詣をして欲しいものです。

京王線特急に乗って、府中駅にやってきました。

けやき通りはお正月の様相です。ここは既に大國魂神社の参道なのです。

 

大國魂神社

主祭神大國魂大神

創建:景行天皇41年(111年)

社格官幣小社・准勅祭社・別表神社武蔵国総社

東京五社巡りの最後は大國魂神社です。この拝順が正解という訳ではありませんが、スムーズに廻れるのでオススメです。全ての出店が開いている訳ではありませんが、これまでで1番賑わっていました。人の多さは明治神宮の方が多かったですが、大國魂神社にはお祭り的な盛り上がりがありました。

出店が並ぶ参道を抜けて、神門までやってきました。駅前の繁華街にあるので、多くの人が集まっています。私はかつて府中市民だったのですが、お正月の大國魂神社には行ったことがありません。

知人の話によると、新年になるちょうど0時頃に昇殿参拝すると、宮司の挨拶に続いて全員で万歳三唱するのだそうです。ちなみに有名なくらやみ祭にも行ったことがなくて、寺社と関わって生きてきたくせに、身近な寺社には行きたくないという臆病者なのです。

さてさて、大國魂神社の拝殿はいつもの仕様で、特にお正月仕様にしている感じではありませんでした。そのためか、結構な行列ができていました。大國魂神社の初詣はとにかく長時間並ぶと聞きましたが、正月は仕方ありませんね。今では解消されているでしょうか?

拝殿では人形(ひとがた)の記入所がありました。以前、大國魂神社に夏越の大祓に行ったレポートを書きましたので、詳細はそちらをご覧ください。夏だけでなく、冬の大祓もしているのですね。日枝神社明治神宮大國魂神社と、大晦日に年末の大祓の儀を受けられるようにしてくれているのは素晴らしいです。

お参りを終えて、また賑やかな参道を駅に向かって歩きます。

 

私の東京五社巡りの所要時間は5時間程度でした(昼食休憩込み)。大晦日ではなく普段の日であればもっと短時間で廻れるでしょうし、御朱印や授与品を求めたらもう少し時間がかかると思います。格式の高い神社にお参りをして、私の2026年がどうなったかはまだわかりません。と言うより、各所でお参りしているので、良いことも悪いことも、どの寺社の御利益だかわからないという……。

 

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