寺社探訪

寺社探訪とコラム

浄土宗 正受院

浄土宗 正受院 目次

名称・寺格

思惟山 正受院 浄業三昧寺 と称する浄土宗の寺院です。寺格は特にありません。水子供養が有名で、通称「赤ちゃん寺」と呼ばれています。

創建

弘治年間(1555〜1558年)、学仙房という僧によって建立されました。

本尊

阿弥陀如来

みどころ

独特の鐘楼門をくぐると、静かな境内に心が落ち着きます。水子供養で有名な寺院です。

アクセス

東京都北区滝野川2-49-5

JR京浜東北線「王子」徒歩7分

 

探訪レポート

荒川巡礼企画で埼玉県深谷市を訪れた際に、新一万円札発行を記念して、「渋沢栄一の故郷」として町を盛り上げていた様子を見ましたが、北区は渋沢栄一が生活拠点として活躍したとのことで、JR王子駅には壁一面に渋沢栄一自身や王子との関わりを紹介する展示がありました。

歩いて程なく、住宅街の中に正受院があります。小さなお寺で、門の前や参道にお墓参りの方の車が停まっていました。入口には観音菩薩像が建っています。

明治35年(1902年)に建立された鐘楼門です。石組みの珍しい門です。ちょっと風化した感じが良いですね。門の上部が鐘楼堂になっています。

真下から見ると、こんな感じです。

鐘楼堂を通って参道を進むとまた寺院の入口があります。その横にのび太くんからのメッセージが貼られていました。

境内に入るとすぐに手水舎があります。大きなお寺ではないので、コンパクトな手水舎です。

本堂は大正3年の建立です。正受院はそもそも大和国奈良県)の学仙房という僧が夢のお告げで建立した寺院です。本堂の裏に石神井川が流れていますが、そこに滝があったそうです。学仙房が正受院を創建した年、石神井川が洪水して、水の引いた川から不動明王像を見つけて、滝の側に安置しました。このことから、不動の滝と呼ばれたそうですが、あまり浄土宗寺院っぽくない由緒ですね。写真を消してしまいましたが、本堂の左奥にその不動明王像を安置した不動堂があります。

本堂の左前に石像がありますが、こちらは近藤守重という千島列島を探検した方で、この近くに住んでいたのだそうです。甲冑姿で冒険した人とのことです。

慈眼堂という納骨堂です。水子や赤ちゃんのお骨を納骨することができます。正受院が「赤ちゃん寺」と呼ばれるのはこのためです。仕事で何度か赤ちゃんのお葬式をしたことがあります。医療の整った現代社会でそのようなことになるのは、生まれつき重篤な症状の赤ちゃんが多くて、遺族の皆さんは覚悟ができてしまうのか、静かに送り出す方が多かったです。それでもどうにもできない無念さからか、非常に重たい空気になってしまいます。

こちらは子どもの守護仏、地蔵菩薩像です。私が関わるのはお葬式のみですが、その後にはこのような供養が行われているというのを目の当たりにして、お葬式での重たい空気が蘇るようでした。仏教では赤ん坊のうちに亡くなるのは罪とされて、赤ん坊は三途の川を渡れず、賽の河原というところで両親を思い石を積むのだそうです。そこには鬼がいてせっかく積んだ石を壊してしまうので、赤ん坊は泣きじゃくるのですが、そんな赤ん坊を地蔵菩薩が救ってくれるという信仰があります。赤ちゃん寺が川原にあるのも何かの縁なのでしょうか。

 

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