寺社探訪

寺社探訪とコラム

明治神宮

明治神宮 目次

名称・旧社格

明治神宮と称します。旧社格官幣大社です。

創建

大正9年(1920年)に創建されました。

御祭神

明治天皇 昭憲皇太后

みどころ

22万坪、73ヘクタールに及ぶ広大な境内と、計画的に作られた神宮の杜が素晴らしいです。初詣の参拝者数は日本一です。

アクセス

東京都渋谷区代々木神園町1-1

JR山手線「原宿」徒歩すぐ

 

探訪レポート

明治神宮は東京で一番〇〇という称号をたくさん持っている神社です。中でも初詣の参拝者が日本一多いことで有名です。そんな、多くの人々から愛されている神社ですが、歴史は浅く100年少々です。というのも、明治神宮の御祭神は、明治天皇昭憲皇太后だからです。

近代日本の天皇は、明治天皇大正天皇昭和天皇、平成天皇、令和天皇といらっしゃるが、おそらく明治神宮のような国民的な施設を作ってお祀りされるのは、明治天皇だけでしょう。明治維新は、そのくらい国民に衝撃的な変化をもたらす歴史的な出来事だったのです。そんな変革の時代に、先頭に立って外国文化を受け入れ、日本の立ち位置を築こうとした偉大な人、というか、偉大な神として愛された天皇でした

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原宿駅側から訪れます。一之鳥居を抜けると、森林が広がっています。明治神宮は、内苑と外苑があり、内苑は国費で政府が造苑し、神宮と明治天皇を記念する施設が建っています。外苑は献費で奉賛会が造苑し、記念公園になっています。とにかく広くて、豊かな森林が保たれているので、都心にいる感覚が無くなってしまいます。この森林も全国から献木されたもので、造苑も全国の青年団勤労奉仕として手がけました。

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こちらは、明治神宮御苑の入口です。作り込まれた庭園というより、自然を演出している感じの庭園です。現在はコロナ感染防止のために閉まっていました。私的な話ですが、明治神宮に来るのは、おそらく20年ぶりくらいです。前回何をしに来たのかと言うと、写真を撮りに来たのです。今のようにデジタル一眼レフカメラなど無い時代、初めて一眼レフカメラを買って、芸術気取りの写真を撮りまくってました。中でも植物写真と人物写真が得意だと思い込んでいた私は、この森林に埋もれていたら、何か良い作品が撮れる気がしたのでしょう。

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さらに進んでいくと、上( ↑ )のようなものが。これは日本酒の樽で、国内の各蔵元から献上されているそうです。いくらお酒が好きだったと言っても、こんなに飲んだら体を壊しますね。実際、明治天皇は日本酒の飲みすぎで、晩年重い糖尿病を患っています。

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こちら( ↑ )はワイン樽で、明治天皇が外国から入って来たものの中でも、特にワインを好まれたということで、献上されています。お酒好きの人がよくやる、健康のためにワインにしておく、というやつですね。

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 二之鳥居は木造の明神鳥居としては日本一の大きさだそうです。明神鳥居はそんなに珍しいものではなく、鳥居としては一般的な形です。この日は平日でしたが、外国人観光客の方々が記念撮影していました。着色してない木造の鳥居ってかっこいいですよね。

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手水舎がコロナの感染拡大防止のために使用不可になっていて、その代わりに 竹から水が流れて清められるようになっています。真夏の猛暑には涼しげで良いかなと思いました。

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 こちらは祓舎といい、その名の通りお祓いをする場所です。日常的にここでお祓いをする姿を見ることはなさそうですが、大祓の儀のような大きな神事の際に使われるようです。いよいよ本殿に正対する位置にやってきました。三之鳥居の正面に立つと、右に祓舎、左に手水舎という感じです。

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 こちら( ↑ )が三之鳥居。森の中を歩いてきて、ついに神社の境内らしい場所に踏み入ります。参拝者の皆さん、鳥居の前で一礼して、とても礼儀正しいです。

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そして使用されていない手水舎( ↑ )です。 明治天皇は和歌を詠むのが好きだったようで、たくさんの和歌が展示されています。手水舎にも天皇皇后両陛下の歌が示されています。天皇の詠まれた歌は、御製(ぎょせい)というそうです。

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 三之鳥居をくぐると、客殿が建っています。結婚式に利用されているようです。

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そしてすぐに南神門があります。南神門の内側は塀に囲まれたエリアで、明治神宮の中心部となります。 おそらく山手線の線路がある都合上、東はないのですが、西南北からの参道がこのエリアに向かって延びていて、ここで東西南門をくぐってエリア内に入ります。私が歩いてきた原宿駅から延びるのが南参道です。

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 だだっ広い空間ですが、大きな御神木と拝殿が見えます。このだだっ広い感じ、アレですね。新横綱が誕生した時に、土俵入りが奉納される場所です。

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御神木越しに拝殿を臨みます。明治神宮のご祭神は明治天皇ですが、現代の人々は明治天皇についてどんな印象があるのでしょうか。たぶん、ほとんど知らないというのが現実だと思います。あの時代の天皇ですから、神の系譜なのですが、実質は結構人間臭くて、柔軟でユニークな人柄だったようです。私は近隣住民ではありませんが、私の周りにも明治神宮崇敬会の会員の方が沢山います。原野に約70万㎡という森を創設したのですから、相当の思いが寄せられています。

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拝殿は、流石に圧倒的に大きいという印象。江戸時代の封建社会から、一気に外国風の生活様式に変わった明治維新後の日本、受け入れ難い文化や風習もあったと思います。それでも、西洋式の髪型など、天皇が先頭切って率先して行うことで民衆が後追いしやすくなるという、まさに君主という行動力です。民と共にという意識の強い人だったそうです。

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 参拝を済ませて東の門を出ると、長殿と神楽殿があります。神楽殿は各種祈祷などを行うところだそうです。明治神宮のご祈祷は神楽殿で行うということで、神楽の舞があります。祝詞を奏上するだけでなく、舞が奉納されるのです。特別に高額なご祈祷でなくても、通常のご祈祷でも舞が奉納されるそうなので、一度体験してみたいと思います。長殿では簡単な資料の展示や御守り類の販売の他、おみくじを引くことができます。有名なので知っている方が多いと思いますが、明治神宮のおみくじには、大吉とか吉とか凶とかはありません。いただけるのは、明治天皇の御製、昭憲皇太后の御歌です。どんな歌が引かれるか、というのがおみくじの運勢的なものに当たります。引かれた歌は、今まさに自分に必要な歌として受け取るべし。というのが通説なのですが、無理に解釈しなくても、不思議なほど今の自分に染みる歌だったりするそうです。

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さて、ここからまた南参道を原宿駅方面に戻ります。緑の中をただ歩くという目的で神宮を訪れても、じゅうぶん目的が果たせるくらい、森林が心身に何かを及ぼしているのがわかります。これがパワースポットという場所なんでしょう。

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こちら( ↑ )は、フォレストテラス明治神宮という結婚式場やパーティー会場だそうです。20年前、私は明治神宮に写真を撮りにきたのですが、その前はここにロケハンに来たのです。若いとはいえ、無駄なことやってましたね。代々木の街を題材に文芸作品を書こうとして、訪れたのがこの広場でした。当時はテーブルやら椅子やらが並んでいて、森の休憩所的な場所だった気がします。

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このまっすぐな参道を抜ければ原宿駅です。表参道はいつも人が溢れていて、少し窮屈な自由を過ごしている。きっと物事がうまく行かなくて、苦い想いで歩いている人もいる。すれ違う人のそんな痛みは、街の輝きに掻き消されて誰も関心を持たないのに、それを文化だと見つめる嫌な人もいる。

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最後にこんなの( ↑ ↓ )がハードディスクに保存されていたので、掲載してみます。二十年前の明治神宮の杜で撮った植物写真です。

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