寺社探訪

寺社探訪とコラム

十二社熊野神社

十二社熊野神社 目次

名称・旧社格

熊野神社と称します。十二社熊野神社、新宿熊野神社とも呼ばれています。旧社格は郷社です。

創建

応永年間(1394-1428年)に鈴木九郎が熊野三山から勧請して祀ったのが始まりとされています。

御祭神

櫛御毛野神(くしみけぬのかみ)

伊邪那美神(いざなみのかみ)

みどころ

西新宿のビル群を背景に、新宿中央公園の隅にある、都会のオアシス的な立地。遠い和歌山の世界遺産熊野三山の御神徳を新宿で受けられます。

アクセス

東京都新宿区西新宿2-11-2

JR山手線「新宿」徒歩15分

 

探訪レポート

西新宿の摩天楼の横、新宿中央公園の片隅に十二社(じゅうにそう)熊野神社があります。まず閃くのが、十二社って何なのか? ということです。これは、十二所権現を祀る社という意味です。十二所権現は神仏習合の権現で、和歌山県熊野三山で祀られている神様です。かつてはこのあたりの地名にもなっていたそうで、十二社(じゅうにそう)という言葉が現在も西新宿の町にわずかに残っています。

こちらは神輿庫です。一之宮、二之宮の他、氏子地域の神輿が保管されています。十二社熊野神社の氏子地域は西新宿から歌舞伎町や新宿三丁目あたりまであるそうです。

楽殿です。十二社熊野神社の大きなお祭りは9月に行われる例大祭です。太鼓の演奏や神輿の渡御かあります。熊野三山では御祭神である熊野大神素戔嗚命を同一視していて、素戔嗚命に使える八咫烏をお祀りしています。2011年になでしこジャパンがこの神社に参拝後にワールドカッブで優勝したことで、スポーツ関連の祈願をする方が多いそうです。

手水舎です。8月の終わりには花手水と言って、手水舎に花を浮かべて飾っていて、限定の御朱印を出しているそうです。

手水舎に玉石で「夏詣」と象られていました。こういうのは見ていて気持ちが良いですね。お盆は仏教の行事ですが、神道も夏に特別にお参りする由縁があるのでしょうか。

和歌山県熊野三山宮司家てある鈴木氏の末裔、鈴木九郎という方がこの中野坂上から西新宿あたりの開拓や馬の売買で「中野長者」と呼ばれるほどの財を成します。鈴木九郎が故郷の熊野三山から十二社権現を勧請して祀ったのが、この神社の始まりとされています。

社務所兼授与所です。夏らしく簾がかかっています。かつては熊野(十二社)権現をお祀りしていましたが、例によって明治維新神仏分離令熊野神社と改名して、櫛御気野大神と伊邪那美大神を祀る神社となりました。

ところで新宿は江戸時代に甲州街道の宿場町として発展しましたが、このあたりは池があったり滝があったりと風光明媚な景勝地だったそうです。コンクリートジャングルと化した現代の様子からは想像できませんが、新宿中央公園に人々が集うのは、その名残が少しは関係あるのでしょうか。

本殿の奥に境内社がいくつかあります。こちらは大鳥神社で、11月には酉の市が開かれます。

こちらはお稲荷様です。胡桃下稲荷神社とのこと。

取って付けたような池ですが、真新しい橋が架けられていて、小さな鯉が泳いでいました。つまり、弁才天をお祀りしているということですね。江戸時代はここに十二社池と呼ばれる風流な池があったそうですので、その頃にも弁才天がお祀りされていたのかもしれません。このあたりから新宿中央公園へ抜ける門があります。お洒落なカフェと芝生の美しい公園ですが、かつては時代の流れから弾かれたダンボールハウスに住む労働者と、彼らを支えるボランティアたちの公園でした。世の移ろいはそこにあった風景を消し去って、違う姿に更新してしまうのだとしみじみ感じますね。

 

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