去年のお話ですが、飼っていた猫が癌で亡くなりました。私は葬儀業界で働いていて、取引関係者の中にも、ペット葬儀を扱っている会社がいくつかあり、ある程度の知識や情報は持っていました。という訳で、今回は私が選んだペット霊園を、葬儀関係者と寺社探訪者の両方の目線でお伝えします。
猫について書き出すと、鼻水垂らしながらの長文になるので、動物霊園について書いていきましょう。とにかく悲しすぎたので、知人や取引先は候補から外しました。私の希望は、東京の多摩地域、火葬と納骨ができること、個別の納骨壇と合祀墓があること、できれば寺院と提携している施設で、読経や法要を行っていること、その施設がずっと長く続いていくことです。条件を満たす動物霊園は意外にも多くて、その中から私が選んだのは、調布市の深大寺動物霊園でした。
天台宗の別格本山、深大寺の山内にある動物霊園で、運営は別々でも山内にありますので、創立から現在に至るまで深大寺と共に歩んできた動物霊園です。アクセスは京王線調布駅やつつじヶ丘駅、JR中央線三鷹駅や吉祥寺駅からバスになります。深大寺は観光地ですから、周辺に大きな駐車場があります。動物霊園専用の無料駐車場もありますが、台数が少なく火葬での来園優先ですので、イベント時やお参りだけだと利用できない場合があります。
深大寺動物霊園のシンボルである六角形の万霊塔ですが、高さ30m、33個の法輪がある巨大な建築物です。万霊塔の根本の部分に埋め込み式の壇が誂えてあり、十二支観世音菩薩像が安置されています。1963年に完成し、深大寺、浅草寺の両貫主読経のもと、落慶式と開眼法要が執り行われたそうです。
私が条件にしていた、読経や法要を行っていることは、ちょうど私が火葬に訪れた日に目にしました。大勢の方が集まっていて、万霊塔の前にテントが張られていてパイプ椅子が並んでいました。聞いてみると、毎週日曜日に四十九日法要を執り行っているそうです。70〜80名参加することもあるというもので、深大寺の僧侶が読経に来ていました。私は火葬に訪れてお別れをしたばかりだったので、ハンカチで目頭を押さえながら、愛犬愛猫を亡くした人たちがお焼香をする姿を見て、一ヶ月半後の自分を思いました。今は寂しいばかりだけど、まだ猫のためにやるべきことがあるというのが、励みになりました。他にも、春と秋の彼岸会、海の日に行われる施餓鬼法要。スポーツの日に行われる動物慰霊大祭などの法要があり、開催前に案内が届きます。
火葬収骨の方法は、個別か合同か、立会いか一任かの組み合わせで費用が変わります。最初は合同火葬で良いかと思っていました。合同火葬だと個別収骨はできず、そのまま合祀墓に合祀されます。癌との壮絶な闘病で、生き抜くことの凄さを教えてくれた猫に感謝して、しばらくは個別で納骨してお参りしたいと思うようになりました。私が選んだのは個別一任火葬というものです。無料の送迎サービスもあり、自宅まで遺体を引き取りに来てもらい、火葬後自宅に遺骨を届けてくれます。私は自分で連れていきたかったので、送迎サービスはお断りしました。立会い火葬の場合は、家族も一緒に送迎してくれるそうです。
火葬に訪れた日に、納骨壇も契約しました。家に連れて帰ることも考えましたが、ぞんざいに扱ってしまうことの無いように、私の都合に関係なく供養が続いていくようにと、納骨壇を求めました。
万霊塔を中心に円形(たぶん六角形)に囲むように納骨施設が建っています。中は図書館のような感じで、納骨壇が並んでいます。いろんな種類の区画の大きさがあり、区画の大きさで費用が変わります。契約時にかかる費用の他に、年間の管理費を2年に1度支払う感じです。
合祀する場合は合同納骨所という、別の建物になります。小さな小屋のような感じです。中に入ると、正面に須弥壇があります。上段に観音菩薩像が安置され、中段に遺骨を納める扉があり、下段に線香でお参りできる用意がされています。
左右の壁には、水入れとお花と塔婆をお供えする棚がつけられていて、たくさんお供えされています。合祀墓なので、個別なものはないのですが、過去帳に名前が刻まれています。私の猫もいつになるかは気持ち次第ですが、いつか弔いあげして合同納骨所に移すと思います。
こちら(↑)は、納骨壇が図書館のように並んでいる施設の中にある、南極観測隊の樺太犬の御霊座です。元々は南極の昭和基地に慰霊碑を建てて納骨していたそうですが、喪失の危険があり、国立極地研究所に持ち帰られ、その後文部省によって深大寺動物霊園に納骨されました。2018年に特別な御霊座を設置し、一般公開されることとなりました。この時は、深大寺僧侶による法要が行われ、かつての南極観測隊の隊長さんも参列されたそうです。ジロを始め、第1次隊で活躍した22頭の樺太犬たちの遺骨が丁重に安置されています。私は動物愛護的に家庭犬以外の犬の飼い方が好きではないのですが、人間の都合で使役した分、それに相応しい人間からの感謝と祈りが、犬たちに送られたら良いなぁと思います。
ここを訪問したのは、私が入院する前日のことでした。去年愛猫が亡くなってから2回目の入院で、なんだか大きな病気が続きます。私は単身で猫とお互い唯一の家族として生きてきたので、猫が淋しくて早く来いと虹の橋のたもとで呼んでいると思っていました。あまり早く呼ばないで、もう少し待ってほしいと伝えに行ったのですが、そうではありませんね。私の中に病が潜んでいることを、手遅れになる前に教えてくれているのだと、入院中にコラムを書きながら閃いた次第です。
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