寺社探訪

寺社探訪とコラム

曹洞宗 豪徳寺

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豪徳寺  目次

名称・寺格

大谿山 洞春院 豪徳寺と称します。曹洞宗の寺院で、寺格は特にありません。

創建

文明12年(1480年)、世田谷城主だった吉良政忠が伯母の高徳院を弔うために高徳院という庵を結んだ。当初は臨済宗の寺院だった。天正12年(1584年)高輪泉岳寺の初世宗関が曹洞宗に改宗します。寛永10年(1633年)世田谷領が彦根藩領となり、彦根藩主の井伊家が菩提寺として堂宇を整えた。

本尊

釈迦如来

ご利益

招き猫をお祀りした招福殿が有名。家内安全。商売繁盛。開運招福。

アクセス

東京都世田谷区豪徳寺2-24-7

東急世田谷線宮の坂駅」徒歩5分

探訪レポート

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神社やお寺には鉄道の駅名になっていたり、町名になっていたりするところが結構あります。今回はそんな豪徳寺にやって来ました。駅近ですが、閑静な住宅街にあります。石造りの門を参道に入ると、一気に雰囲気が変わります。参道の両側から迫るように並ぶ松の木々が、俗世から切り離された領域へのトンネルと化しています。

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格好いい門です。訪れたのは平日だったのですが、参拝の方がそこそこいらっしゃいました。境内に入ると、まずはあまりにきれいなことに驚きます。きれいというのは、丁寧に掃除が行き届いているという意味です。掃除にうるさいことで町内の有名人みたいな方がいたら、こんな境内になるのかなと思います。

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こちらは地蔵堂です。令和2年(2020年)落慶とのことで、完成したばかりです。経年の味は全くありませんが、精密に作られている様子がよくわかります。地蔵堂なので、地蔵菩薩像が安置されています。土日祝と正月、お彼岸、お盆に解放されています。

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逆に梵鐘は延宝7年(1679年)に鋳造された、世田谷区最古の年代物です。ところで、梵鐘というのはおそらく滅多なことでは壊れたり失くなったりしないと思うのですが、それでも古い時代の梵鐘が現代にあまり多く残っていないことの理由は、江戸幕府が海外からの侵略に備えるために徴収したり、第2次世界対戦中に政府が徴収したりしたというのが原因だそうです。当時は国の存亡をかけて戦っていた訳ですから、他に選ぶ道がなかったのかもしれませんが、なんか虚しくなってしまいます。

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こちらは仏殿です。井伊直孝の娘で、非常に信仰の厚かった掃雲院が父の菩提を弔うために延宝5年(1677年)に建立しました。存在感の大きな建物で、正面に立つと気持ちが自然とが鎮まります扁額には三世佛(三は旧字)と書かれていて、過去、現在、未来を意味する仏様が仏殿に安置されているそうです。

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三重塔です。多宝塔があるから良き寺院という訳でもないのでしょうが、境内に多宝塔が建っていると、なんとなく立派だと感じてしまいます。こちらは平成18年(2006年)5月に落慶したもので、まだまだ新品同様という感じです。釈迦如来像、迦葉尊者像、阿難尊者像、招福猫児観音像(招福堂改築工事中のため)が安置されています。迦葉尊者、阿難尊者というのは釈迦の十大弟子と呼ばれる方々です。手塚治虫の「ブッダ」に登場する「マハーカッサパ」と「アーナンダ」です。釈迦の死後、その教えを後世に残すため、お経を作ることになったのですが、お経を作るための集まりを結集と言います。第1回の結集の際、迦葉尊者は議長役をして、釈迦の付き人だった阿難尊者の記憶を元にお経を作ったと言われています。

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さて、招き猫です。豪徳寺が招き猫の発祥だと言われています。そもそも、彦根藩主の井伊直孝豪徳寺菩提寺に選んだことから、この寺が大変栄えることとなるのですが、鷹狩からの帰路、井伊直孝をこの寺に引き入れたのが門前にいた猫だということです。猫に招かれて寺に入ると雷雨になり、雷雨を避けられたことと、和尚の法話が聞けたことを直孝は非常に喜んで、豪徳寺菩提寺としたという招き猫伝説があります。

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現在は招き猫をお祀りする招福堂を改築中ですが、豪徳寺といえば招き猫というほど有名なので、立派な招福堂が出来上がるのではと期待してしまいます。ちなみに豪徳寺の招き猫は、飲食店に置かれている招き猫と違って、小判を抱えていません。金に直結するのは俗っぽいからでしょうか。

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さて、こちらは六地蔵です。六道輪廻の思想から、六体の地蔵菩薩をお墓の入口に安置されます。六道輪廻の思想とは、人が亡くなると、六つの世界(六道)に生まれ変わりを繰り返すという思想です。その6つのそれぞれの世界で、地蔵菩薩の救いを受けるために、地蔵菩薩を六体安置するという訳です。曹洞宗に限らず、仏教寺院のお墓にはよく六地蔵が安置されていますので、お墓参りのときにはお地蔵様にお参りしてからお墓に入りましょう。

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光の加減でかなりボヤケていますが、歴代藩主の墓という感じですね。おそらくここまでしっかりと残っているのは珍しいのだと思います。国の史跡に指定されています。桜田門外の変で有名な幕末の大老井伊直弼のお墓もあります。

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昭和42年に移築された法堂です。こちらには聖観世音菩薩立像、文殊菩薩坐像、普賢菩薩坐像、地蔵菩薩立像、井伊直弼肖像画が安置されています。

 

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こちらは久々の永代供養墓です。檀家でなくても、後を見る人がいなくても入ることができます。見た目はシンプルですが、中はガッチリとした構造物で、地下、1階、中2階の3階構造になっています。中は1人用または2人用の納骨壇になっていて、永代供養壇や合祀墓もあり、予算や希望に合わせてチョイスすることができます。縁あって世田谷に長く暮らすも、お墓が決まっていない方などは、一度見学してみても良いかもですね。豪徳寺ならお参りに着やすいですし、とても清潔感のある永代供養墓です。

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豪徳寺を訪問して、際立っていたのが、この整然とした境内です。よほど意識して整備していなければ、このように整えられません。お寺の高い意識と、それに応えられる植木職人さんの技量あってこそだと思います。松並木の参道を通って境内に入ると、自分の心の中のグチャグチャがスーッと消えていくような気分になります。これぞ禅宗の寺院というべき浄化力でした。

 

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