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真言宗豊山派 新井薬師

真言宗豊山派 新井薬師 目次

名称・寺格

新井山 梅照院 薬王寺 と称する真言宗豊山派の寺院です。通称新井薬師として知られています。寺格は特にありません。

創建

天正4年(1586年)、行春によって創建されました。

本尊

表を薬師如来、裏を如意輪観音とする二仏一体の像となっている。秘仏とされていて、12年に1度寅年に御開帳されています。

ご利益

薬師様なので病気平癒にご利益がありますが、目の病気に特にご利益があるとされています。8のつく日は本尊の縁日で、護摩法要も行っています。

みどころ

境内に様々な堂宇があり、境内の北側には公園があります。休日に多くの方が集まる場所になっていて、ゆっくり時間を過ごすことができます。

アクセス

東京都中野区新井5-3-5

西武新宿線新井薬師前」徒歩5分

探訪レポート

JR中野駅から歩きました。若い頃は中野駅北口エリアに住んでいたので、歩くだけで懐かしい気持ちになりました。少し無理をしながら生きていた頃の思い出が蘇ります。当時は名曲喫茶が好きで、渋谷の「ライオン」や高円寺の「ネルケン」や新宿の「スカラ座」に頻繁に現れていました。特に中野の「クラシック」は大好きなお店で、よくガタガタの椅子に座ってコーヒーを飲んでいました。「クラシック」も「スカラ座」も無くなってしまいましたが、「ライオン」「ネルケン」は今でも存在しているそうですね。

さて、そんな感傷に浸っているうちに新井薬師に到着しました。山門前には本堂を再建した記録と再建に尽力した僧の記念の石塔が建てられています。

大きくはありませんが、味のある山門です。当サイトでは「三大〇〇の3つ目は複数ありがち」などと、少し揶揄する感じでご紹介してしまっていますが、新井薬師は、武相四大薬師に選定されています。

山門を入った左側には修行大師像と聖観音像があります。きちんと花が備えられていて、線香でお参りができるように、常香炉があります。

こちらは霊堂という建物です。真言宗ではこのタイプの二層の根本大塔をよく見かけますが、それとは関係ない気がします。こちらは薬師如来閻魔大王を安置しています。

こちらはこじんまりと纏まっていて、絵にしたいような不動堂です。こういう狭い画角に情報量が多い絵って、描いていて楽しいんですよね。不動堂にはもちろん不動明王が安置されていて、お堂の前、右側にはお願い地蔵、左には水子地蔵と、地蔵菩薩が建っています。お願い地蔵の前には奉納品の小さな地蔵がたくさん置かれています。

手水舎があります。この日は平日だったので、境内は人が少なめです。

本堂もそんなに大きくありません。全てこじんまりしていて、本当に絵にすると楽しそうです。本尊は二仏一体という珍しい本尊で、表に薬師如来、裏に如意輪観音となっています。秘仏となっており、寅年に御開帳ですから今年御開帳されました。開山の祖である行春が、前庭で光り輝く梅の木を見つけて、植木師に調査させると、二仏一体の仏像が出てきたということです。本堂では護摩供も随時受け付けているそうです。

新井薬師と呼ばれるからには、薬師如来にまつわるエピソードがいくつがあります。寛永6年(1629年)、徳川二代秀忠の第五女の和子の方が悪質な眼病を患い、名医、名薬、祈祷など手を尽くしても治らなかったものが、新井薬師にご祈祷したら全快したというお話です。また、元和3年(1617年)、第5代住職の玄鏡の部屋にある夜薬師如来が現れて、子どもの病気に効く薬の作り方を伝えたそうです。幻境がその通り薬を作ってみると、子どもの病気で治らないものはないほどの効き目だったそうです。これらのエピソードから、新井薬師のご利益の評判が広まり、参拝者が多く訪れる寺院となったそうです。

こちらが鐘楼です。新井薬師には創建にまつわるエピソードもあって、開山の祖である行春という僧がこの地を訪れた際、この新井の地には、かつての争乱で痛手を追って四散した一族の末裔が住んでいましました。そして、行春はその戦で彼らを討伐した一族の末裔だったのです。しかし、新井の人々は過去のことは水に流して、行春を温かく迎えたそうです。その人々の気持ちを受け、行春はこの地に草案を結んたということです。

さて、本堂の裏側のエリアに行きます。多目的ホールがあります。私はモグリなのでこのホールを使用したことがありませんが、葬儀での利用頻度は高いのでしょうかね。近くに落合斎場があるので、そんなに利用されてはいないと思うのですけどね。

こちらは聖徳太子像です。こちらのエリアのそばには新井薬師公園という、境内より大きな敷地の公園があります。中野通りを超えて向こう側まで公演があるのですが、元々は新井薬師梅照院の土地です。このあたりに住んでいた頃、ただ通過していた公園や寺院に、改めて訪れるのは不思議な感覚でした。結構変わってしまっているところもありますが、死ぬまでにもう一度この町に住みたいなぁと思いました。

 

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