寺社探訪

寺社探訪とコラム

真言宗豊山派 慶性院

真言宗豊山派 慶性院 目次

名称・寺格

白部山 医王寺 慶性院と称します、真言宗豊山派の寺院です。寺格は特にありません。

創建

天文年間(1532-1555年)に創建され、慶長年間(1596-1615年)に開山されました。

本尊

不動明王

みどころ

珍しい水天像が見られる他、歴史的由緒ある石仏などがあります。

アクセス

東京都東大和市芋窪6-1353

多摩都市モノレール「上北台」徒歩15分

 

探訪レポート

山門からではなく、東側の門から入りました。入ってすぐ右手に石塔がありました。左は庚申塔と思われます。一面六臂の青面金剛の下に、見ざる言わざる聞かざるの三猿が刻まれています。中央は鳥居の下に仏像か僧形が刻まれていますが、よくわかりません。右側が東大和市文化財に指定されている水天像です。水天は十二天のひとつで水難除けや雨乞いの祈願の対象となっています。十二天は仏教以前の信仰と仏教が習合して、仏教守護する神々として天部に存在しているとされています。帝釈天毘沙門天などが有名です。水天もそのひとつですが、水天像というのは都内に3基しかないそうで、そのうちのひとつがこちらの石像です。

左側には石と緑の庭があります。日本人なので、このような庭は見ていて心が落ち着きます。

鉄の脚に木の屋根が載せられているお堂に同じ石から彫ったと思われる像が並んでいます。左は五鈷杵を持った僧形なので、弘法大師だと思われます。右は如来のようですので、大日如来かなと思いますが、間違っていたらすみません。額に文字が書かれていますが、ほぼ消えていて読めませんでした。

立派な鐘楼堂があります。近隣から苦情が出ているので、鐘を突かないでくださいと書かれていました。以前はお参りの方に鐘を突いてもらっていたそうです。私も何度か寺院の鐘を突いたことがありますが、真面目に心から臨むと、素晴らしい体験をした気分になることができます。警察を通じて苦情が何度かあったとのことです。世知辛いと言うのは簡単ですが、実際に近隣住民になってみないと、その苦痛はわかりません。

薬師堂なのですが、本堂に対して奥の院という位置づけになります。実は慶性院は現在の多摩湖がある場所にあった寺院なのです。多摩湖は東京都水道局が管理する人工の貯水池で、建設の際に慶性院は現在の地に移転して来ました。元の場所にあった頃、境内に池があって、橋を渡って奥へ上がったところに薬師堂があったので、奥の院とされているのだそうです。

松の木が凄いですね。本堂には不動明王がご安置されています。開山当初は薬師如来を本尊にしていたそうですが、江戸時代中期の住職が、不動信仰を取り入れて本尊にして、薬師如来奥の院へ移しました。その頃に本尊となった不動明王の胎内に、創建当時からある小さな不動明王を納めて秘仏にしたのだそうです。

こちらが正面の門です。多摩湖の近くに慶性院が移転前に使用していた長屋門が、「慶性門」として保存されているのですが、多摩湖に沈んだ建築物の中で唯一現存しているのだそうです。静かな住宅街にある静謐とした寺院でした。境内を歩く足も自然とゆっくりになります。本堂の窓ガラスに移転百周年の記念事業のパンフレットが貼られていました。来年(令和7年)5月に行われる大般若祈祷会の案内が書かれていました。経本をハラハラと流れさせるような所作を見たことがあると思います。あれは文字通り流し読みしているのですが、その風にあたるだけでもご利益を得られるそうです。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

にほんブログ村 歴史ブログ 史跡・神社仏閣へ

神社・仏閣ランキング