名称・旧社格
諏訪神社と称します。立川諏訪神社とも称されます。旧社格は郷社です。
創建
弘仁2年(811年)、長野県の諏訪大社から現在の諏訪の森公園の地に勧請されました。
御祭神
建御名方神(たけみなかたのかみ)
みどころ
広い境内の中、随神門よりさらに内側の神域には塀に囲まれた特別な空気が漂います。よく整備された美しい境内は、神々の存在を感じることができます。
アクセス
東京都立川市柴崎町1-5-15
JR中央線「立川」徒歩10分
探訪レポート
JR立川駅から諏訪通りなる道を歩いてまいりました。神社の参道と言われたら、そんな雰囲気も少し感じるような参道ですが、それらしき店が立ち並ぶという感じではないです。駅から来ると東門の入口に差し掛かりますが、そこは素通りして神社の正面となる南側の鳥居から入ります。木々に囲まれた長い参道が、正統派の神社であることを示しているようです。参道を抜けると手水舎があります。
社殿の方へ向かわずに左側に進んでいきますと、土俵がありました。そのさらに奥には参集殿と結婚式場があります。ちょうど反対側、社殿に向かって右側に錬成館という武道場のような建物があります。土俵を始め、弓道場や柔道場もあります。錬成館では相撲に積極的に取り組んでいるようで、例大祭に行われる奉納相撲だけでなく、わんぱく相撲や中高生の全国大会などに出場する選手を育成しているそうです。そのために奉納相撲は、地域の子どもたちが本格的に相撲で取り組んでいる様子が見られるということで、多くの方々が集まる盛大な行事となっているそうです。
立派な随神門ですが、実は以前に普済寺のレポートをしたときに、境内の堂宇が放火によって消失したとお伝えしましたが、ここ諏訪神社も平成6年(1994年)に原因不明の火災によって社殿などを焼失しています。社殿含め境内はその火災の後、10年くらい掛けて整えられたものだそうです。神社によっては神門だけがあって、塀がないものも多いのですが、こちらは塀があって、内側と外側がきちんと区切られています。そのために、神門を入ると一気に神の領域という感覚になります。
中は非常に広い空間になっています。正面に社殿があり、その奥にも更に特別な領域がありそうです。更に奥には木々が見えます。いわゆる諏訪の杜というやつですね。参道から続くこの光景は、本当に正当な神社の姿を表しています。
社殿を正面に見て右側に神楽殿と境内社があります。神楽殿は昭和43年(1968年)に竣工したものです。大きく立派な神楽殿ですね。節分会や例大祭の際に立川市内にある各はやし連の団体が演目を披露しています。右側には境内社が並んでいます。左から疱瘡神社、日吉神社、金刀比羅神社、浅間神社と並んでいます。疱瘡神社は天然痘を神格化して、悪疫が人の世に及ばないように各地で建立されている神社です。日吉神社は比叡山の山岳信仰と神道と天台宗が習合した山王信仰の神社です。金刀比羅神社は、海運や海上交通の守り神とされています。浅間神社は富士山信仰の神社です。
境内社の横に、目の神様という祠がありました。この目の神様の正体はよくわかりません。ここにモミの御神木があり、人々が崇めるようになって、目の神様となるという、すっ飛んだ説明しか見当たりませんでした。目の神様のさらに右側に新しいペンギンのような石像がありますが、こちらはアマビエ像と言います。アマビエは妖怪のような出で立ちで、弘化3年(1846年)に熊本県の海上に現れて光を発し、駆けつけた役人に豊作と疫病の予言をして、「私の姿を写した絵を人々に見せよ」と告げたそうです。世界中の人々の生活を一変させてしまったコロナを何とかしたいと考えた地元のロータリークラブの方々が令和3年に建立したものです。
拝殿はひとつの建物に3つ並んでいます。お祭りされている神様ごとに分かれていて、奥に広がる立入禁止のスペースに本殿があります。左が八幡神社、中央が諏訪神社、右が稲荷神社となっています。中央の諏訪神社には建御名方神をお祀りしています。建御名方神は存在のよくわからない神で、研究者たちが様々な説を唱えています。諏訪神社的には、建御名方神は大国主神の子で、武勇に優れた諏訪湖に住む神という解釈です。左の八幡神社は、これまでにも多く登場しましたが、誉田別神つまり応神天皇を祀る神社です。元々は別の地にあった神社で、諏訪神社から徒歩1分くらいのところに、八幡神社の跡地の石碑が建っています。右の稲荷神社も、登場頻度の高い神社です。お祀りされているのは宇迦之御魂神、農耕や商売の神様です。こちらは文政2年(1819年)に境内に建立されたそうです。
これら三社の拝殿には塀があって、その奥は立ち入れないようになっています。ガラス戸があるので、奥の様子は見ることができます。この塀は屋根付きの廊下になっていて、神職さんが行き来していました。とても雰囲気のある廊下だと思いませんか? ところで、私が境内を散策しているとき、すれ違った神職さんが「こんにちは~」と挨拶をしてくれました。これまで多くの寺社を訪問していますが、こういうことは殆どありません。一気に諏訪神社の好感度が高まります。あまり観光目的の訪問者が少ない寺社などでは、寺社関係者の方に出会っても、顔に迷惑だと書かれている人の方が多いです。神仏に罪はなく、人に罪があるのだと言い聞かせておりますが、どうせなら気持ちよく挨拶のできる人に神仏を守っていただきたいものです。
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