寺社探訪

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日蓮宗 摩利支天 徳大寺

日蓮宗 摩利支天 徳大寺 目次

名称・寺格

妙宣山 徳大寺と称する日蓮宗の寺院です。摩利支天を安置しているので、通称、摩利支天徳大寺や、下谷摩利支天と呼ばれています。

創建

寛永年間(1624-1644年)に慈光院日遣上人によって建立されました。

本尊

曼荼羅

みどころ

上野アメ横の中にあって、観光客からも人気です。名だたる武将たちが信仰した摩利支天のパワースポットとしても有名です。

アクセス

東京都台東区上野4-6-2

JR山手線「御徒町」徒歩2分

探訪レポート

外国人観光客で賑わう上野アメ横に入ります。あまりこのあたりに来ることは無いのですが、やはりゴミゴミしていると言いますか、衛生的にどうかと思うところもあります。それもアメ横の特徴かもしれませんが、清潔できれいな街が日本の自慢なので、改善してほしいと思います。

さて、摩利支天に到着しました。本当にアメ横のど真ん中にあります。摩利支天は、インドで仏教が開かれる以前から神として崇拝されていました。古代インド哲学であるリグ・ヴェーダに既に登場しており、バラモン教にも神として登場しています。仏教が広まる過程において、バラモン教の神も仏教を守護する存在として取り込まれていきます。摩利支天もそのように仏教と習合した神として信仰されています。

朱塗りの本堂は存在感に溢れています。江戸中期に京都の日蓮宗本山である本法寺管主だった日達上人が、千葉の大本山である中山法華経寺に輪番のために向かおうとした際に、夢のお告げがあり、摩利支天像を東方に立たせるようにとのことでした。夢から覚めると夢の中で見た尊像があり、夢のお告げの通り東国の徳大寺にご安置されました。この摩利支天像は聖徳太子の御手彫と伝えられています。摩利支天は「威光」「陽炎」と同意であるとされ、気力・体力・財力を与える守護神として、武士階級から絶大な信仰を受けてきました。そんなことからこの地でも大いに崇敬され、摩利支天徳大寺は隆盛し、門前町は摩利支天横丁として賑わいます。関東大震災東京大空襲によって境内は被害を受けても、摩利支天像は健在でした。戦後の闇市から現在のアメ横の街並みを形成する過程で、何度か移転計画が上がりましたが、結局は創建時よりずっとこの地で人々の生活を見守ってきました。このことも摩利支天のパワーの凄さを語るエピソードになっています。

境内の右側です。左は日蓮聖人像です。中央は七面大明神、右が縁結び地蔵尊です。七面大明神と言うのは、法華経の守護神とされる神様です。摩利支天と同じく天部の神様という位置づけです。七面大明神日蓮宗独特の神様ですが、総本山の身延山の近くに七面山という山があって、山頂に七面大明神が祀られ、周囲に寺院や伽藍が多くある信仰の山となっています。縁結び地蔵尊銅像だけ見ると、とても縁結びの菩薩様には見えないですね。

仏教でいう天界、つまり仏様の世界には如来、菩薩、明王、天などの仏様と仏様に準ずる存在がいらっしゃいます。基本的には悟りを得た如来は質素な装束を着ています。明王や天はド派手な装束や恰好をしています。徳大寺の摩利支天はスーパーサイヤ人のようなとんがって天を衝くような髪の毛をしています。左手は前方に掲げ、右手には利剣を握っています。そして走る猪の上に立っているという凄い出で立ちです。これは稲荷神=荼枳尼天秋葉権現飯縄権現が白狐に乗っているようなものだと思われますが、なぜ猪なのでしょう。ともあれ本堂の朱塗りだけでなく、このことからも、摩利支天徳大寺が寺院よりも神社のような形態で信仰を受けていたというのが頷けます。亥の日は特にご利益をいただけるご縁日として伝えられています。

石橋稲荷神社です。境内は決して広くはないのですが、様々なお参りができるようになっています。提灯がたくさん掲げられているのも、外国人観光客にとっては日本の伝統を象徴するものに見えるのでしょうね。

こちらは威光燈とのこと。ひとつずつ奉納された方の芳名が掲げられています。ちなみに本堂には「威光殿」の扁額が掲げられていますが、吉田茂元総理大臣の揮毫だそうです。

本堂の中に浄行菩薩が安置されていますが、ここは境外のお堂になります。浄行菩薩法華経に登場する菩薩で、特に日蓮宗で信仰されています。煩悩を洗い落とす水を司る菩薩です。左右にひしゃくが置かれていますので、それで水をかけて、私の煩悩も流れ落ちますようにと祈念すると良いと思います。

こちらはアメ横にある摩利支天外堂です。先ほどの浄行菩薩堂もですが、摩利支天徳大寺のすぐそばなので、なぜわざわざこんなに近くに造ったのか疑問です。もしかしたらここが入口で、アメ横を通りかかった人々を、徳大寺の境内に誘うためのお堂かなと思いました。ちなみに、日本三大摩利支天というのが選定されているようなので調べてみると、ここ上野の徳大寺と、京都の禅居庵(臨済宗建仁寺派)、金沢の宝泉寺(高野山真言宗)とのことで、日蓮宗ばかりではないことを学びました。

 

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